金融コラムス・バックナンバー

2007.5.23

「 バランスシートは逆に読めばよく見える 」

 5月21日付コラム「バランスシートはバランスしているか」の続きを書いてみよう。バランスシート上の現預金は、それ自体が独立して存在し得る資産ではなく、他の資産の在り方から生まれる従属的資産勘定と言える。現預金の顔は、人の顔のように千差万別である。その顔の見分け方は、下から読むと解り易い。今回のコラムでは前回と逆のケースを例示してみよう。ついでに勘定の配列も逆にしてみる。

貸方借方
固定資産200
資本勘定250
固定負債0
流動資産30
流動負債100
小計230
小計350
現金120
合計350
合計350

 このバランスシートの現預金は資本勘定からの余剰50と流動資産の調達余剰70の120で構成されており、何とも幸せな顔をしているのである。このような体系の企業には落とし穴がある。資本勘定の収益の劣化や売掛金のような流動資産の回収率が低下しているのに気がつかないという「ウデ蛙現象」の中にどっぷりとつかってしまい勝ちということだ。

 企業は黒字がいいに決まっているが、最悪なのはトップが、黒字も赤字も見分けがつかないことだ。案外、赤字の方が解り易いこともある。それは問題点がはっきりしていて、そこさえ直せばいい。やっかいなのは、黒字でありながら、企業内に緊迫感がないこと。この時、トップはどう決断すればいいのだろう。私なら、先行的投資に踏み切り、自らも赤字のつもりでタガを引き締める。