金融ブックス [金融コラムス・バックナンバー]

金融コラムス・バックナンバー

2007.10.2

「 地域の活性化は社会資本の充実にある 」

 利尻、礼文を訪ねた。想像していたより大きな島だ。6~7月がベストシーズン。礼文島が約300種類の花々が咲き競い、別名「花の浮島」とも呼ばれる。利尻島は火山が爆発して出来た島。礼文島は海底が隆起して出来た島。生い立ちが違うが、少し離れたこの両島が、互いに島肌を眺めあう見事なコントラストは絶景と言うにふさわしい。この両島、その割には農産物には恵まれない。米・野菜はとれず、札幌からの移入に依存している。

 筆者が訪れたのは、まさに厳冬が始まらんとするシーズンオフ。それでも結構な観光客がいる。高齢者が多く、景観や史跡にはほとんどのツアー客は感嘆の声を発するが、いざ食事となると、一気に都市型に逆戻りしてしまうのか? 一寸がっかりという様子。無理もないのだ。この島でとれるウニは札幌に運ばれ、地元の人の口には入らない。季節はずれとはいえ、旅行中ウニにはありつけなかった。経済的格差で言えばこの地域は典型的な低所得社会には違いない。しかし、観光客の数はベスト・オフシーズン合わせて、この島が沈んでしまうほどのおびただしいものがある。この旅行者にもっと満足のいくサービスの提供はできないものか?

 旅情の重要な要素に「食」がある。東京に帰ってからデパートでウニの瓶詰めを買ってきて、旅をしのぶのも妙な気分だ。名もない小魚でもいい、野草でもいい、少しでもいい、都会では味わえないものがほしい。ないものねだりかもしれない。確かにこの地域には、そうしたくても出来ない事情がある。独特の「食」を提供するにも社会資本がないのだ。国は所得格差というならこの辺に目配りがほしい。小さな農家、漁業者を育成するという社会愛が求められている。この辺を解決すれば所得格差の是正にもつながる。