金融ブックス [金融コラムス・バックナンバー]

金融コラムス・バックナンバー

2007.9.14

「 美しき国、夢のまた夢 」

 尾張国の百姓として生まれ、織田信長に仕え、頭角を現す。信長が本能寺の変で明智光秀に討たれると、中国大返しにより京へ戻り、山崎の戦いで光秀を破り、信長の後継の地位を得る。その後、日本全国の大名を従え天下統一をなしとげるが、慶長の役の最中に、嗣子の秀頼が幼少のため、自ら後継の基礎を築けぬまま、事もあろうに敵将、徳川家康に後を託し没した。

 この歴史上の人物は言わずと知れた、豊臣秀吉。晩年の豊臣政権の基盤は、かなりガタガタだったようだ。

 翻って、自民党政権基盤は豊臣政権の末期と似ているところがある。安倍晋三首相(自民党総裁)が突然、退陣した。会見で、海事活動継続をめぐり敵将、小沢一郎民主党代表との党首会議が実現しないことを退陣決断の理由の一つにあげている。与謝野官房長官の言っているように「健康と仕事の両立について、深い苦悩の中にあった」のだろう。然し組織の長たるものは、それなりの苦悩はあるものだ。だが一国の総理という巨人にはあってはならないことであり、精神的、肉体的健康管理もそのパーソナリティの中に含まれていると考えるべきだろう。

 したたかで強い人間力こそがトップにあるものの素質である。本人に聴いてみないと解らないが、よっぽど苦しかったのだろう。国民の一人として自殺でなくてよかったと言いたい。徳川政権ならぬ小沢民主党政権がこの日本の危機を徳川家康のように収拾できるのか。辞世の句ではないが、「露と落ち 泡と消えにし 我が身かな 美しき国 夢のまた夢」。