金融ブックス [金融コラムス・バックナンバー]

金融コラムス・バックナンバー

2007.7.31

「 ワーキングプア 」

 ニューヨーク株の下落に発した世界同時株安の動きが止まらない。米国市場では低所得者向け住宅ローンの焦げ付きが増加し、業績の悪化が懸念される金融機関の信用不安から、幅広い銘柄での売り注文が殺到したのが引き金とみられている。

 アメリカは言わずとしれた経済超大国だが、泣き所は貧困層の多いことだ。アメリカにも日本にもワーキングプアは存在する。ワーキングプアとは、働いても我が暮らしが楽にならない階層のことで、働いて得る報酬が、生活保護世帯の収入以下にとどまる人たちのことを指す。日本では保護世帯の標準3人世帯で東京都区は200万円弱、地方区は150万円弱が一応の目安だ。日本経済社会も格差の拡大から基盤が弱くはなってきているが、日本は個人貯蓄や、親子間の相続資産に支えられて、所得格差がそのまま経済不安にはつながらない。アメリカが過去に大不況に見舞われた時も、低所得者層を支える貯蓄銀行という中小金融機関の経営破綻が引き金だった。投資という側面で世界に冠たるアメリカ経済も消費という側面では、貧困という地雷をかかえている。

 所得格差の指標とされるジニ係数は、それまでは高齢化指標に連動していたが、最近はこれだけでは説明がつかず、若手層での格差拡充傾向、失業率の上昇、非正社員比率の上昇なども加わって、日本もアメリカ並みに消費側面でアキレス腱をかかえつつある。