金融ブックス [金融コラムス・バックナンバー]

金融コラムス・バックナンバー

2007.7.24

「 原発事故は人災か天災か。 」

 プレートがぶつかり合う日本列島を物理学者の寺田寅彦は「日本の国土全体が一つのつり橋の上にかかっているようなものだ」と表現しているという(朝日新聞・天声人語)。

 前回の新潟県中越地震の被害がさめやらぬうちに、再び新潟に大型地震災害が襲った。筆者がお付き合いしていた前橋工科大学の教授(現在は引退)が、この新潟一帯のプレートについて説明してくれて、今回の柏崎刈羽原発の危険性について既に2年前に予告していたことを思い出す。今回の地震で原子力発電所が直撃されてはじめてさまざまな管理体制の甘さが露呈しているが、教授は、もともとこのような場所に原子力発電所を建設すること自体の問題を指摘し、熱く素人の筆者に語っていた。

 科学技術が発達したが、地球の中まではわからないと言えばそれで済むという問題ではない。地震予知といえば、一握りの学者グループの専売のようにもみえるが、前述のような、地道で現実的な研究をしている学者もいることを忘れてはならないだろう。その教授は「私達がいくら、このような現実的予知を発表しても、声が小さくて届かない」と述懐していた。

 新潟県は、今回の被害の問題点について、IAEAの査察を受け入れることを決定したという。このことが、一部企業家の事実の隠蔽などにより、二重、三重の災害を引き起こすことのないよう、情報を国際的レベルで開示しておくことは大切なことだ。原子炉の問題のみならず、事実が隠蔽される体質だけはなくさなければならぬ。