金融ブックス [金融コラムス・バックナンバー]

金融コラムス・バックナンバー

2007.6.14

「 資本取引と損益取引の区分の原則は何故あるのか? 」

 成り上がりの企業や、中小企業のワンマン社長のなかには「俺の創った会社の金を何に使おうが自由だろう! 俺の人生の総てを会社のために尽くしてきたのだから、俺が何をしようが全部『公』だ」と言わんばかりの人がいる。中小企業や親族企業には実際の場面になると公私の峻別といつも判断に迷うケースも多い。

 ところで簿記の原則に、資本取引と損益取引区分の原則というのがある。資本を直接変動させる資本取引なのか、資本を運用させて利益を増殖させる損益取引なのか。また、故意に両取引を混同させて処分可能利益を操作することも起こり得るのだ。この両者のボーダーライン上にある問題を解決するためにこの原則がある。取引源泉に基づく取引の明確な区分と、資本の維持と処分可能利益の確保を明らかにするための原則と言える。

 ついこの間まで大騒ぎをしていた「ライブドア」の粉飾決算スキャンダルもこの点に問題があった。当時の堀江社長について言えば、この原則は公私混同を戒めた教えであることに耳を貸さなかった人生の誤算とも言える。若いときには過ちはつきものだが、悔い改める真摯な心を養ってもらいたい。

 私の知っているオートバイには目のない社長が、ハーレーダビッドソンなどありとあらゆる国内外のオートバイを社員の福利厚生費だと言って、経費で落とし、税務署につかまった。だが、その社長は、非を認め税金を払うとともに、その後公私混同について大いに反省した。今では立派な経営者になっている。