金融ブックス [金融コラムス・バックナンバー]

金融コラムス・バックナンバー

2007.4.23

「 銀行員にもっと自由を 」

 大原簿記学校の青木靖明氏はその著書「会計原則は処世訓」で「地球上で営まれている総ての根源は宇宙の聖なるバランスであり、このバランスが崩れるところでは、必ずその生態系は滅んでしまいます。簿記学とはこのバランスの大切さを捉えるのに最も適した学問」と述べています。味のある言葉だ。 筆者が銀行でお客様の様々なバランスシートと格闘し、融資という仕事をしていたのは30年も前ということになる。札幌に手稲オリンピアという有名なスキー場がある。二つのバランスシートを示された。冬期のそれは黒字、夏期のそれは赤字というアンバランスを示していた。冬はスキー客で賑うが、夏はゴルフ客が来ないとか。 どこにゴルフ場があるのかと質問すると、「雪が消えるとゴルフ場になる」とか言っている。 実地に見学させてもらったが、ゴルフ場といえるものではない。メンバーリストも定かでない。早速セールス開始。 融資条件を備えて実行にこぎつけ、ゴルフ場は完成した。次のステップで個人ゴルフローンを創設し、額数億円をあっという間に回収した。このゴルフローンには他行も参加し、本体の融資原本の返済は増々加速した。 当時はバランスシートとの高邁な理念など知る由もなかったが、この企業の夏期の仕事そのものが、自然に逆らっていたとも言える。時はバブル期とは言え、銀行員にはかなりの自由が許されていた。当時私はこれが「動態的融資論」などと嘯いていた。 然し、悲しいかなハミ出し銀行員への評価は芳しいものではなかった。